すべての経済はバブルに通じる

すべての経済はバブルに通じる (光文社新書 363)

すべての経済はバブルに通じる (光文社新書 363)


最近、金融関係に警鐘をならす本がたくさん出ていますが、今回はその中から一冊。

今年に入って資産運用を始めたせいか、金融関係のブログなどに目を通すこともあるのですが、そもそもこの業界の知識がまったくないので、理解できないこともたくさんあるわけです。

そんな金融ビギナーにも、割とわかりやすく最近の証券化の流れやサブプラショックなどについて書かれているので大変参考になりました。


著者は、今回のリスクテイクバブルの崩壊は、第一段階で、今後何度もキャンサーキャピタリズムが起きてくるだろうといっています。

ということは、今の景気低迷はずっと続くものではなくて、また何かでどーんとバブルが起きて景気も戻るということでしょうか。

この辺は、先日読んだ諸岡実麿さんと同じことを言っているようです。




■投資家にとっての最大のリスクとは何か?

資産が、標準化により投資「商品化」され、この投資商品を投資対象とする投資家が飛躍的に増大すると、この資産は価格が大幅に上昇することになる。

「商品化」による客層の拡大が流動性の増大をもたらし、それがこの投資「商品」の価値を上げることになるのだ。

ここで、個別の資産をリスクとリターンという形で標準化することを可能にしたのは、証券化である。

つまり、証券化は、資産を商品化することにより、価値を大きく増大させるのである。


■リスクのないビジネスモデルの完成

その意味で、証券化とは、すばらしいマーケティング技術なのである。

証券化ビジネスとは、この技術を使って、確実に儲かる仕組みを作り出すビジネスなのである。

証券化を行い、最初に投資した投資家にとっての証券化は、リスクを取った投資ではなく意図的にリスクをリスクでなくすことで利益を上げるという仕組みの考案による利益創生メカニズムなのだ。


■リスクテイクバブルとは何か

多くの投資家がリスクを求めてリスク資産に殺到し、それによりリスクがリスクでなくなり、結果的に彼らすべてが儲かることとなり、さらに他の投資家も含めてリスクへと殺到する状況を指す。


■バブルは崩れてからがバブル

つまり、バブルかどうか、あるいは、そのバブルが崩壊するかどうかについては、その価格水準自体は関係ないということだ。

高すぎるか、あまりに高すぎるか、どちらであってもそれは必ずしも、直ちに下落することを意味しないということだ。

心に留めておくべき格言は、「バブルに歯向かってはいけない」。

つまり、バブルはバブルであっても、いつ崩壊するかわからず、非合理的な水準、説明できない水準になっても、そこからさらに上がる可能性があるので、下がると思って投資するのは危険だ、ということだ。


■バブルだから投資する

プロの投資家にとっては、バブルで儲けるのが仕事である。

だから、バブルとわかっているのに、わざわざ「バブルだ」と騒いだりせずに、黙って、バブルに乗って儲けるのである。







すべての経済はバブルに通じる (光文社新書 363)

すべての経済はバブルに通じる (光文社新書 363)