生命保険はだれのものか


ライフネット生命保険の出口社長が日本の保険商品・保険業界の問題点を書いた本。

「生命保険」というものが大の苦手の自分にとって、非常に役に立ちました。

今まで、生命保険について考えるのが、何か感覚的に嫌でした。

その嫌なものが漠然としていたんですが、本書を読んで、日本の生保商品が消費者・生活者の立場にたっていなかったからだとわかりました。


商品の概要がつかみにくい、生保レディーが胡散臭そうなど……

まあ、挙げたらきりがないんですが、とにかくこれまで「なぜ、生命保険が必要なのか」という問いにたいして、感覚的・感情的な説明しかなかったということが大きいかと思います。


それから一社専属体制というのもおかしい話ですよね。

このように構造的にがちがちの保険業界を見ていると、やはり日本はいわゆる「政・官・財」の結びつきが強くて、業界の利権を守る方ばかりだったのかなと思ってしまいます。


ともかく、この本はこれから自分で生命保険を選んでみたいという方にはお勧めです。




■はじめに

どのような商品・サービスであれ、主人公は消費者であり生活者です。

生命保険も例外ではありません。

生命保険は、消費者・生活者のものです。


■不払い問題とは何か

不払い問題:保険会社・保険業界の構造的問題の露呈

=保険商品の著しい複雑さ+説明しない(できない)募集人の資質+保険会社の顧客の不知に乗じた戦略。


■なぜ生命保険商品は複雑になったのか

1 主契約と特約という商品構造

2 商品開発力より販売を優先した企業体質

3 一社専属制が比較情報を嫌ったこと

4 同一保険料・同一配当という規制の存在

5 売上を増やそうとする企業心理

6 お客さまのニーズの多様化

7 約款がほとんど読まれない市場慣行


■生命保険会社が破綻したらどうなるのか

まったくの私見ですが、将来、仮に破たんする生命保険会社が現れた場合、定期死亡保険や医療保険などの掛け捨て型の生命保険はほぼ100%補償され(すなわち、保険金、補償金の削減はない)、一方、終身死亡保険や個人年金保険などの貯蓄型の生命保険は最大で2〜3割、保険金、補償金額の削減が生じる可能性があるということを一応の目安としておけば十分ではないかと思います。


■生保四大国の特徴

金保険や生存保険など貯蓄機能を持つ商品が主力を占めていること。

これは社会の成熟化・高齢化に対応した当然の動きです。