俳句脳


脳科学者の茂木健一郎俳人黛まどかの2人によって書かれた本。


最近、右脳や潜在意識に関する本を読んでいて、音楽や文章といった芸術的なものは、論理的に感じて論理的につくるものではないのはもちろん、無意識で感じて顕在意識でつくるものでもなく、潜在意識で感じて潜在意識でつくるというように考えたほうがしっくりくるなと思っていましたが、この本を読んで、まさに我が意を得たりと思いました。


やはり、感覚で感じたもの自分の中で言葉や音に置き換えて出すのは、右脳・潜在意識でしているのではないでしょうか。



クオリアとは、『今、ここ』で感じられて、あっとゆう間に過ぎ去ってしまう質感である。」


「説明されていないもの、言語化されていないものを「掴もう」「感じよう」とする意思は、内なる感覚を総動員して臨む能動的な行為となるので、自分の全体性が引き出されやすい。その過程においては過去の記憶から現在の志向性、さらには思いもかけない願望までが協力し合い、ある実感を生む。要するに、その句に自分なりの感覚を持つに至るのだが、この感覚こそが、自分自身のクオリアである。」


「『今、ここ』から一瞬のうちに通り過ぎてしまう感覚を記憶に留め、言葉によって顕在化するというまさに『クオリア言語化』が、俳句という文学なのである。」



以上、本書の冒頭の文章ですが、自分にとって欲しいが見つかったという感じでした。まあ、新書なので論証する類のものではないのですが、科学者・文人の双方の立場から書かれた本でこのような発見ができてよかったなと思います。