内臓が生みだす心
- 作者: 西原克成
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2002/08/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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心は脳でなく内臓に宿る。
脳は心ではなく、精神を司る器官である。
心肺移植をした人は、ドナーの記憶や嗜好を臓器と一緒に引き継いでしまうという事例が数多くあります。
そもそも脊椎動物はすべての器官が腸管から進化したものなのです。
顔、性器なども腸管からの派生物です。
■以下引用
高等生命体の源の器官が腸であり、腸の総体に心が宿り、財・名・色・食・睡の欲の源が存在します。
このように腸を三区画で見ると、心と精神・思考を担当するのが鰓腸(えらちょう)で、全腸管の9割方を支配します。生殖細胞を生成する腎臓系も鰓腸の神経の支配によります。鰓腸はできた卵子や精子によって生ずるうずきの心をからだであらわします。精神活動、特に文化活動は、自己実現であり精神的な自己の拡大再生産です。したがって生命の拡大再生産に極めて近いものです。名誉欲が性欲に近似しているのです。腹の腸の欲は財・食・睡で生存の欲です。魚排(さかなへんに排)腸がいわゆる性欲で最も制御しにくいと言われています。
腸の消化・吸収と好き・嫌いが、とりもなおさず五欲の源です。
■引用終わり
このようなことを中心に本書は、現在の脳に心が宿る考え方や、医学に疑問を投げかけています。
この本を読んで脳がすべてではないということに非常に共感しました。ここでは筋肉をなどを知覚器官(交感神経)、内臓を非知覚(副交感神経)としています。
つまりは知覚できない副交感神経であつ腸管内臓系が生命の欲情の源であるということです。
言葉にも、腸が煮え繰り返る、失恋(ブロークンハート)など腸管内臓で表現する言葉が多数あります。
私たちの心や感覚というものは、意識できる領域だけでなく、無意識で支配されている領域が非常に大きいということを本書は示唆していると思います。
内容は、少し専門的で難しかったですが、新たな気づきを得ることができてよかったです。
- 作者: 西原克成
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