失敗の本質 日本軍の組織論的研究
- 作者: 戸部良一,寺本義也,鎌田伸一,杉之尾孝生,村井友秀,野中郁次郎
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1991/08/01
- メディア: 文庫
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太平洋戦争時の日本軍を社会学的・組織論的な観点から分析し、軍部が抱えた組織的な問題点・欠点とは何だったのかを論じた本。
1章・失敗の事例研究では、ノモンハンから沖縄線まで6つの事例を取り上げて、それぞれの事例で明らかになった問題点を分析しています。
6つに共通するのは、
・上級士官のコミュニケーションの欠如
・作戦目的が共有されていない
・統一された戦略が軍内部で共有されていない
・属人的、情緒的な組織風土
・意思決定過程が明確でない
といった点が挙げられています。
途中までは、結論はこのようなコミュニケーション能力の欠如による戦略・戦術の共有ができなかったことになるだろうなと思いながら読みんでいました。
しかし、最後は見事に裏切られました。
脱帽です。
さすが名著と各方面で紹介される本です。
結局、日本軍は当初の設定した戦略に組織を適応させすぎたために、その後の環境変化に対応できなくなるまでに分化した組織となったことが、失敗の本質ということでした。
マンモスは鼻のところの角が伸びすぎて顔に刺さったために絶滅したと、子どものころキン肉マンで読みましたが、これと同じことです。(マンモスマンの話は本当かどうか知りません。ちなみにキン肉マンでは、マンモスマンの角を何かの方法で伸ばして勝ちましたよね)
本書では、日本の企業も同様の傾向を持っていると最後に警鐘を鳴らして終わっていました。
この本の刊行から25年ほどたっていますが、現状はどうでしょうか。一部の企業では、絶えず自己変革を繰り返しているので、この心配はないのですが行政機関なんかはまさしく当てはまるような気がします。
いまの行政機関=太平洋戦争下の日本軍
やっぱり似ていますね。あとは終戦を待つだけでしょうか・・・
※今日、我が家では私と妻が、どっちの携帯電話待ち受け画面に写っている娘の顔がかわいいかで言い争いをしてしまいました。
どちらにとっても娘はかわいい。当然、その気持ちは共有していますが、携帯電話の待ち受け画面という環境にそれぞれ思い入れをしてしまったために、感情が分化してしまったようです。
日常的にも日本軍みたいになることはあるみたいですね。
- 作者: 戸部良一,寺本義也,鎌田伸一,杉之尾孝生,村井友秀,野中郁次郎
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