記憶と情動の脳科学
記憶と情動の脳科学―「忘れにくい記憶」の作られ方 (ブルーバックス)
- 作者: ジェームズ・L.マッガウ,久保田競,大石高生
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/04/21
- メディア: 新書
- 購入: 3人 クリック: 21回
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ショッキングな記憶ほど忘れられないのはなぜか。
飛行機墜落や大地震などに遭遇した人たちは、かなりの時間が経過してもその時のことを鮮明に残っています。トラウマ(心的外傷)を経験した人々は、それを忘れることを強く望んでいます。
確かに私も震度7弱の地震をボーリング場で経験しましたが、そのときのことは今でも強く頭に残っています。
また、昔からヨーロッパでは土地の境界立会や売買契約など、長期にわたって記憶される必要があるときには、一人の子どもにその土地に関する経緯や知識を十分に頭に叩き込んだ後に、川に叩き込んで、記憶の定着を図らせることを行っていたそうです。
実際に、川に落とされた子どもは、年老いた後もその土地に関する知識をきちんと覚えていることができると言います。
本書では、「記憶を科学的に研究できること」がわかったことに対する科学的な論証を紹介しています。「記憶」を科学の対象として扱うことにう対して懐疑的な時代が何世紀も続いていましたが、科学的研究に適合した方法と技術を用いれば、記憶を客観的に研究できることがわかったのです。
本書は科学的な論証が中心だったので、記憶の定着を図る具体的な方法というものはあまり紹介されていませんでした。あくまで、「科学的な知見としてはここまで」というような実験方法に対する論証が主なものでした。
まあ、脳科学者の茂木健一郎さんに言わせると、「日本人は、このドリルをやれば、必ず頭が良くなります」というような即物的な脳科学にしか興味を示さない傾向があるそうです。
確かに、この本を読んだ感想として「じゃあどうなの?」という思いを抱いてしまいました。まだまだ巷の脳ブームに囚われている自分がいるようです。
記憶と情動の脳科学―「忘れにくい記憶」の作られ方 (ブルーバックス)
- 作者: ジェームズ・L.マッガウ,久保田競,大石高生
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