統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか?

統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか? (光文社新書)

統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか? (光文社新書)


大学時代のゼミや論文を書いているときなど、統計数字をもとに議論を進めることはよくありました。


政府機関などが出している統計数字は公式に認定されているものだから正確であり、こういうところからロジックを組み立てていくと、全体の骨格をつくりやすい。


自分の統計数字に対するイメージはこんなものです。


本書は、このような一般的な感覚に対して、そもそも統計数字においても数字は完全ではないということを論じています。


新書なのでかなり噛み砕いて説明されているんでしょうが、統計法などにまったく馴染みがないので、数式が出てくるところはあまり理解できませんでした。その点については、著者も数式を理解できなくても大丈夫というコメントがありました。


内容としては、統計を行う際の統計手法によって数字が変わってくるということや、発展途上国など統計を厳密に行う体制ができていない国はGDPなどの数値もあてにならないことなど、統計のたぶん初歩的な留意事項の説明がされています。


そして最後の章では、著者お得意の地下経済を題材に「公式統計に表れない地下経済」というテーマで、GDPに表れない地下経済の実態はどうなっているのかについて論じています。


ここでは、私たちの身近な事例を用いてGDPに計上されるケース、そうでないケースを紹介しています。

たとえば風俗で使ったお金はGDPに反映されない。その代わり、風俗嬢がそのお金でブランド品を買えばGDPに反映されるなどです。


「公式統計に表れない地下経済」のまとめは以下の4つ。


1 世の中には公式活動に出てこない経済活動があるということ

2 公式活動に出てこない経済活動が、ときには経済全体に無視できない影響を及ぼす可能性があること

3 公式統計に出てこないからといってそうして経済活動を見過ごしていると、景気判断を誤ってしまうおそれがあること

4 今後は、公式統計に出てこない経済活動が肥大化していく可能性があること



とりあえずこの本は全部読まなくてもこの章だけ読めばエッセンスは理解できるような気がします。






統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか? (光文社新書)

統計数字を疑う なぜ実感とズレるのか? (光文社新書)