マネジメント革命

マネジメント革命 「燃える集団」を実現する「長老型」のススメ

マネジメント革命 「燃える集団」を実現する「長老型」のススメ


21世紀型マネジメントや未来の人間の自我とは何かを論じた本。

著者は、CDやAIBOを開発したソニー天外伺朗(土井利忠)氏。

著者は、自身が体験した創業時のソニーやCD開発現場などを「燃える集団」と呼び、個を規制する管理主義や個人主義を増幅させる成果主義ではなく、部下を信頼・受容し、部下の全力疾走をサポートする「長老型マネジメント」の必要性を訴えている。従来の、親分―子分の癒着関係のままでは「燃える集団」には程遠い状態である。


そもそも本書では、世の中の成長本に決まって書かれている「目標設定」を真っ向から否定している。成長は、次世代のキーワードではない。来るべきは、成熟した自我から生まれる内発的動機に基づく行動だ。

世の中で言われるいわゆる「勝ち組」は、宗教や組織に依存した「中期自我」ではなく、自立した自我を確立している「後期自我」の持ち主である。

しかし、そのような成功者たちは、自我の確立のために常に他者との「戦い」を必要としてきたため、「自我の肥大」が起こり、他者と戦うことでしか、精神の安定を得られなくなってしまっている。ハッピーリタイヤした成功者の多くが鬱病になるのは、このことによっている。



一方、「燃える集団」「長老型マネジメント」は、「成熟した自我」によっている。成熟した自我は、戦わない、飾らない、自発的である、戦わないために負の側面であるシャドーがない状態である。このような人は、富や名声のような外発的動機ではなく、外部から与えられる一切の報酬とは無関係に、心の底からこみあげてくる喜びや楽しみから生まれる内発的動機によって、自らの行動を決定している。

このような状態が「フロー状態」と呼ばれるものである。フローとは、「流れにのった状態」であり、ポジティブシンキングやプラス思考もここから派生してくるものである。フローの生みの親であるチクセントミハイ教授は、ソニーの設立趣意書にある「自由豁達ニシテ愉快ナル」状態がフロー状態であるとも言っている。


このように本書では、かなり超越した視点から未来のマネジメントについて論じているだけでなく、私のような平社員にも共感できることも書いていることが、非常に参考になった。


95%の上司がダメな上司であるが、そのダメな指示に従っている部下もダメな部下である。「やり過ごし」ができない部下は無能である。また、指示gが無視されて怒り狂う上司も無能である。「『やり過ごし』もふくめて上司の指示・命令をみずからの判断で優先順位をつけて遂行し、必要に応じて指示されないことまで自主的におこなって、つねに時機に応じた解決策を提示する部下」は概ねどこの職場でも評価されている。


さしあたって当面は、このできる部下になって「フロー状態」になれるようにがんばりたいと思います。