なぜ、改革は必ず失敗するのか

なぜ、改革は必ず失敗するのか-自治体の「経営」を診断する

なぜ、改革は必ず失敗するのか-自治体の「経営」を診断する


佐賀市長の木下敏之氏の著作。


「なぜ、改革は必ず失敗するのか」

このタイトルに惹かれて購入してみましたが・・・

本の出来栄えはともかく、タイトルと内容があんまり関係なかったようなのでがっかりしました。


このタイトルを見たときは、自治体・政府部門の改革が失敗に至るいまの日本の構造的な要因を分析して類型化しているのかなと思って興味津津でしたが、フタを開けてみれば佐賀市長時代の回顧録と著者の自治体についての所見が中心の本でした。


政治家の本なんて、そんなものだよと言ってしまえばそれまでですが、正直残念ですね。


でも、内容はそれなりに楽しめました。


この本を読む限り、首長としての著者の能力は高いものだろうと推測できました。特に、自治体職員の民間との能力の差を論じている点、また実際に多くの民間のノウハウ、民間から人材を得ていたところをみると、羨ましく思う次第です。


また、このような職員の能力の欠如を含めた地方の「人材格差」を「本質的課題としての『人材格差』」として位置づけ、3つの類型にまとめています。


1 首長・公務員への産業拡大や業務のスピードについての能力不足

2 若者への教育における差

3 地方の企業で働く人の人材不足



タイトルだけ見ると期待はずれなんですが、その先入観をなくせば、多くの問題提起がされていて、自治体首長の本としては良書に入るのではないかと思います。

行政の中にいると行政というものを通してしか仕事の視野を持てなくなるので、このように広い視野で行政の課題をとらえているところは、さずが改革派首長といったところではないでしょうか。


新しい目標・課題を提起して世の中を変える。

これができるかできないかが政治家の良否をわける部分ではないか、本書を読んでそんな感想を持ちました。






なぜ、改革は必ず失敗するのか-自治体の「経営」を診断する

なぜ、改革は必ず失敗するのか-自治体の「経営」を診断する